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自然写真家・高砂淳二さん

ハワイ好きならたいていの人が知っている写真家。もし名前を知らなかったとしても、その作品は目にしたことのある人が多いはず。
ハワイに行った事がある人もない人も、その写真を見ていると気持ちがいい、ぐんと惹きつけられる、なんだか癒される感じがする、そんな感想をもらす人が多い。今回のALOHA PEOPLEインタビューは、ハワイには欠かせない自然写真家・高砂淳二さんの登場です。

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自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。
海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体の繋がりや人とのかかわり合いなどをテーマに
撮影活動を行っている。
著書は、月の光で現れる虹を捉えた写真集「night rainbow ~祝福の虹」(小学館)をはじめ、「虹の星」、「free」、「BLUE」、「life」(ともに小学館)、「ハワイの50の宝物」(二見書房)など多数。
7月半ばに、写真集「南の夢の海へ」(pie books)発売予定。”

高砂淳二 オフィシャルウェブサイト: http://www.junjitakasago.com
高砂淳二 ウェブサイトブログ: http://junjitakasago.com/blog/

ナイトレインボーとの出会い

高砂さんが最初にカメラを手にしたのは幼少時代のこと。
ただその頃はそれほど夢中になったわけではなかった。大学3年生の時に大学を1年間休学し、オーストラリアへ。
ダイビングをきっかけに水中写真を撮ることに熱中していった。オーストラリアから帰国後、大学に復帰。
卒業後は写真学校に通った。そんな中、ダイビング雑誌の写真コンテストに応募し、見事入選。
ダイビング雑誌で専属カメラマンとして3年間を過ごし、その後独立、フリーランスで活動することとなった。

ダイビング雑誌で仕事をしていた頃に初めて訪れたハワイ。その後、訪れるたびにどんどん惹かれていった高砂さん。2000年頃、1ヶ月ほど滞在したマウイ島で出会ったのがカフナのカイポ・カネアクアさんだった。*注1

さまざまな場所に写真を撮りに行く中で、自然の偉大さや、人と自然、人と動物との関わりなどに興味がわいていた
高砂さんにとって、カイポさんはたくさんの答えをくれる人だった。そしてそのとき、ナイトレインボーとの出会いが
もたらされた。

月の光で出るナイトレインボーとは、スペシャルな虹で、最高の祝福であるとカイポさんから聞いたその3日後、
高砂さんはまさにそのナイトレインボーと遭遇する。

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「夜運転していたら、たまたま雨が降って、ぱっと虹が出たんですね。うわ、これだ!と感動して、近くに車を止めて写真を撮りました」

ナイトレインボーに魅せられ、もう一度でいいから見たい、とハワイに行くたびに夜な夜な探し求めるようになり、そうやって出会ったナイトレインボーを1冊の本にまとめるほどにまでなった。

昼の虹と違って、確率的にも出る機会が少ないナイトレインボー。ハワイアンの人たちも見たことがない人がほとんどだというのに、そんなに出会えてしまうのは、相当高砂さんが引き寄せているのではないだろうか?

「まあ、縁はあるんでしょうね。夜にそんなに暗いところで過ごす人がいないっていうのもあると思いますが(笑)。ただ、出会いにはみんな意味があるっていいますよね。それまではハワイに行っていても出会わなかったのに、カイポさんに言われてからすぐに遭遇して鳥肌が立ったし、その後も、夢でハワイ島のワイピオ渓谷にナイトレインボーが出たのを見て、その後、実際にそこに行ったら出たりとか、不思議な体験がありましたね」

いろいろな偶然があってナイトレインボーを見ることが出来た。どこか見せられたような感じはしているし、意味のある仕事ができたと高砂さんは感じているそうだ。

 虹が意味するものは?

虹を求めて世界各国に出向き、『虹の星』という本も出された高砂さんは、虹についてどんどん探求していった。*注2

「虹というのは7色できれいな橋を作っていて、それはいろいろな人種が肌の色の違いを越えて虹のように1つになる、ということのシンボルなのだと言っているカフナの人もいます。その、違いにかかる架け橋、という意味合いにすごく共感しました。アメリカのネイティブの人たちには、虹の戦士という話があるんですが、虹は白人と有色人種との違いにかける架け橋で、すべての人間が虹のようにつながることを教えているんだそうです」*注3

高砂さんの興味は虹そのものというより、虹が象徴するもの、人々が虹に見出す想いへと移っていった。
カイポさんによると、虹はいつも7色ではなく、赤い虹、青い虹、緑の虹、など1色だけのものもあるのだという。実はハワイでは、虹は6色と言われている。それについて高砂さんはこう語る。

「それはただの捉えかたですよね。どこでも虹は同じように見えますし。日本でも中国でも虹はもともと、青と赤の2色だと言われていたそうです。虹って虫偏じゃないですか。一説によると、虹は空にかかる蛇や龍という印象だったらしいです。沖縄や奄美のほうでは、虹は雨が上がるときに出るので、水を飲む蛇という比喩があると聞いたことがあります」

同じ虹でも、文化の違いで捉えかたはそれぞれ。そんな違いを楽しみながら、虹への想いを深めていった高砂さん。その作品を手にする私たちは、その虹を実際に見ることが出来なくても、高砂さんというフィルターを通していろいろなことを感じさせてもらえる。それはとても贅沢なことではないだろうか。

紡がれていったハワイとの縁

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ハワイという土地が妙にしっくりくるという高砂さんは、ハワイの人たちの自然観、アミニズムや、ホオポノポノの教えの中心が許しであったり、罪の意識を消すことである点に日本の神道との共通点を感じるという。

たしかに、ハワイアンたちは、たとえ白人には違和感を持っても、日本人には近しいものを感じてくれることが多い。思わずそんなことを口走った私は、高砂さんの言葉にはっとした。

「たしかに白人とハワイアンとの間にはいろいろな面で違いがあります。でももし私達が輪廻転生しているなら、みんなそれぞれの立場を経験しているわけですから、結局そこには差なんかなくてみんな同じですよね」

この穏やかな心、ニュートラルな物の見方を持っているからこそ、きっと自然の美しさをそのまま捉えた写真を撮ることができるのでしょう。高砂さんはさらに、カイポさんとの親睦の中で、一番心に響いた言葉を教えてくれた。

「ハワイの人たちの持っている一番大事な知恵はなんですかと聞いたことがあったんですが、カイポさんが、一番大事なのはクリエーションだと答えたんです。ハワイは海の中にぽつんとあって、今までいろいろな国から人が入ってきて、攻められたり虐げられたりしています。そんな中、なるべく受け入れて、違うものを取りこむことで新しいものを作り出そうとしてきた。虹の戦士の話も同じですが、どうして白人が移住して来たかと言うと、神様がいろんな人種を混ぜて、お互いの良いところを取り入れたり、さらに自分達の良いところを再認識して、素晴らしい世の中を作っていくということなんですよね」

アロハの心で受け入れ、いろいろなことを共有して生きているハワイアンたち。カイポさんの話を聞いて、こういう意識の人たちが住んでいるからハワイには虹が多いのではないか、と感じたという。

「もちろん、雨が多くて偏西風が多いから虹が出やすいという事実はありますが、物の見方には、そういう物理的な面とそうじゃない面とがありますからね」

カイポさんとの出会いがハワイに対する見方をかえてくれた。初めてのハワイは、ただただ体で感じた。風が気持ちいい、波の音が心地よい。そしてハワイに通い、カイポさんを始めさまざまな人たちとの出会いを通し、なぜ自分がハワイに惹かれるのか、そのワケがわかってきたという。高砂さんにとって、ハワイは特別な場所。同じような感覚を持てる場所は他にはないという。

写真にこめる思い

010_002写真を撮るときに大事なことは、何かを撮ろうとするときに、なぜ撮りたいと思ったのかを考えてみること、と高砂さんは言う。なぜ撮りたいと思ったのかの原因を考えると、撮り方が見えてくる。葉を撮りたいとしたら、葉の何に惹かれたのか、色なのか形なのか。自分が惹かれた部分を良く撮れるようにすれば、想いが伝わる写真が撮れる。

「たとえば、ああ素敵だなとか、変な形だなとか、そういうふうに何かを感じることができないと、写真を上手に撮るのは難しいですね。ただ、感じたことを写真で表現するには技術的なことも必要になりますし、テクニックを自分で考える頭も大事。そこでただ感覚だけの人は、そのままぱっと撮っちゃうから、それでは伝わる写真は無理ですね」

自然を撮る場合も、ただきれいだから撮るのではなく、そこには水があって、太陽が輝いていて、自然はこうやって繋がりあっている、そこには目に見えない力が働いているみたいだ、そんなことを感じながら、それを表現できるように撮っていく。それが高砂さんの撮影スタイル。

010_001「被写体の持っているものが大事です。たとえば生き物を撮るときも、ただモノとして見ていてもうまくいかない。相手をなるべくリスペクトして、やりとりしながら撮っていけば、それなりに写ってくるのだと思います。最初からモノ扱いしていると、その強引さが写真に出たりする。我が出ちゃうとだめなんです

高砂さんといえばイルカの写真も人気だが、イルカを撮るたびに気づくことは、もっと力を抜かなくちゃいけないということ。生きものを相手にする場合は、相手の顔色を見ながら引いたり押したりという、気のやりとりをしながら近づいていったほうがいい。自分が一方的に押していくと、イルカに限らず引いていってしまうという。

写真は相手があってのものだから、風景でも生き物でも植物でもなんでも、相手をどう生かすかというのが大事。こう撮ってやるぞ、という気持ちではなく、写しているものの中身を引き出すのが重要なのだそう。

何に対しても真摯な姿勢を保ち続ける高砂さんだが、何を撮るのが一番好きなのかというと、やはり虹やイルカ。そして、最近は人間を撮ることにもだんだん惹かれてきているそうだ。
常に自然界と会話しながら、一番いい瞬間を捉えていく。そういう姿勢でカメラを構えているからこそ、自然は高砂さんの気持ちに答えて、素晴らしい瞬間を見せてくれるのではないだろうか。

最後に、一番印象に残っている写真は?と聞くと、初めて出会ったときに撮ったナイトレインボーの写真、という答えが返ってきた。それほどまでに高砂さんの人生を変えたナイトレインボー、私もいつか出会えるだろうか。

高砂さんのように、良い意味で力の抜けた、常に自然体で穏やかなエネルギーをかもし出す人間でいれば、いつかは出会えるかもしれない、そう信じて、ハワイの夜空を見つめてみたい。でも、たとえ見られなくても大丈夫。高砂さんが世に送り出してくれた、この世のものと思えないほど美しすぎるナイトレインボーの写真がちゃんと脳裏に焼きついているから。

*注1 カイポさんは、ハワイのカフナの家系に生まれたハワイ文化継承者。ハーブの専門家で、ロミロミやホオポノポノなども行うヒーラー。カイポさんとの出会いは、高砂さんの著書『night rainbow 祝福の虹』小学館刊にも書かれている。
*注2 『虹の星』小学館刊
*注3 虹の戦士:Warriors of the Rainbow・・・・・・太古から伝わるメッセージを広め、この世の中をふたたび美しく健康なものにしていく使命を持った人たちのことを虹の戦士と呼ぶ。詳しいことは『虹の戦士』大田出版刊、に書かれている。

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取材・文:アロヒナニ
フリーライター、ハワイ文化講師、カードセラピスト
ハワイ留学をきっかけにハワイ文化に魅せられ、フラ歴は約20年。ハワイのセラピー・カード「マナ・カード~ハワイの英知の力」の日本語版を出版し、マナ・カードを使ったセラピーでは日本での第一人者。各プロバイダーにて配信されている「マナ・カード・ネット占い」の監修をしている。現在、マナ・カードやフラを教える講師として、ハワイ文化を広めるため活動中。全国でワークショップを展開中。http://alohinani.com

 

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